暖冬なのになぜ雪崩に注意?少ない雪でも危険な理由とは??気象予報士解説
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雪崩と聞くと、たくさん雪が降って何メートルも積もった状態で起きる…そんなイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし実際には、そんなに何メートルもの積雪は必要ありませんし、むしろあまり雪が降らない暖冬の年こそ雪崩に注意が必要な場合すらあります。
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、雪崩の意外な怖さを解説します。たくさん積もってなくても…
人的被害が出るような雪崩は、積雪何メートルくらいの場合に起きると思いますか?
1mでしょうか、2mでしょうか。
じつは、そもそも単位としてメートルを使うレベルではないのです。
筆者が東北地方に住んでいたとき、秋田県湯沢市で人が亡くなってしまった雪崩は、積雪約50cmの状態で起きました。
50cmと言えば、大人のひざ程度の高さ。
そのくらいの積雪でも、人の命を奪う威力があるのです。「寒暖の差」の怖さ
暖冬でも雪崩に注意、というのは、前述のように少ない積雪でも雪崩が起きるから…というだけではありません。
暖冬の年ならではの「寒暖の差」に注意が必要なのです。
通常の冬だと、冬期の数カ月間は比較的寒さが継続しやすく、雪が均一に積もりやすくなります。
一方で暖冬の場合、全体としては暖かい状態で一時的に寒気が入って雪が降るため、しっかり積もった雪の層と、半分融けたような雪の層が、ミルフィーユのように重なっていきます。
しっかりした雪の層と融けかかった雪の層の境目は、もろくて崩れやすくなります。
このため、ふだんの年ではあまり崩れないような場所でも雪崩が発生してしまうおそれがあるのです。