サンキュ!

あなたの気持ちやお悩みにこの本、処方します!

  • 癒やしも、トキメキも、生きていく知恵も‥‥‥特別な経験やお金を積まなくても、ぜーんぶ本から得られるのかも。『サンキュ!』本誌でおなじみの読書のプロ・書店員Yが、今必要な1冊をセレクト!!




    書店員は見た!


    今日も書店では素敵なドラマと本との出合いが生まれています!



    今年も、私が働いているモールでは、催事場がチョコレート色に染まり、書店近くのカフェでも甘い香りが漂います。そう、季節はもうすぐバレンタイン。もちろん、書店でもお菓子のレシピコーナーが増設されて、チョコは渡す、ではなく食べる専門の私でさえも何だかウキウキしてしまうのです。
    その日もお菓子の本のコーナーでは、女子3人組が本を開いていました。簡単で映えるのはどれか、盛り上がりつつ、でも真剣に悩んでいる様子はかわいらしく、つい目がいってしまいました。と、あれ?そのうちのひとりに見覚えがあります。数年前、やっぱりバレンタインの季節にレシピ本を買いにいらっしゃったご家族の、上のお子さんではないかしら?よく似ているように見えるものの、最近のわたくしときたら、若い女子がみんな似て見えるものでじゃな……(老化)、「うん、分からん」と呟き、作業に戻ろうとブックトラックに手をやると女子たちが「じゃあ店員さんに聞いてみようよ」と話しているのが聞こえてきたので、「何かお探しですか?」と声をかけると、見覚えのある女の子が「私、前にも本を探してもらったことがあります」。(同一人物で間違ってなかった!)
    話を聞くと、お菓子と一緒に手作りの小物をプレゼントしたいそうで、そのための本がどこにあるかという問い合わせでした。以前は、彼氏に作るお菓子の本を探していたはず……。今回もそうなのでしょうか。本を選ぶべく「若い男性が使う小物ですか?」と聞くと、彼女は首を振って「両親と妹に」。「春から留学するんです。出発する前に家族にプレゼントをしたくて、でも恥ずかしいから、バレンタインのお菓子と一緒にさりげなく渡したいかなって」。
    相談しながら本を選び、予算で悩んでいた彼女に、友人2人が「お菓子の本は、私たちからの友チョコ代わりにするよ!」と、割り勘して買ってくれました。「それで私たちにもお菓子作ってね!」。
    かわいくて尊い3人組を見送り、ほっこりした気持ちになった私。お菓子も小物も、うまくできますように!

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